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「レッドオーシャンからブルーオーシャンを探す」(株)LOOCO・王さん

11月9日、(株)LDF/FDAと拓殖大学工学部デザイン学科(ハイメ准教授)の共同研究演習の第11回目がリモート授業で行われました。

今回は、演習と関連するゲストとして(株)LOOCO・代表取締役の王維忠(紺野新)さんをお招きしました。
王さんは、中国から留学して拓殖大学工学部デザイン学科で学んだOB。元拓殖大学教授であるFDA・竹末俊昭理事長の研究室に在籍していました。

王さんは、大学時代に起業し、レーザーカッター加工機を活用した卒業研究のテーマを今のビジネスにつなげて成功した頼もしい先輩です。
その経緯やビジネスの話をオンラインで講義していただき、また、学生との質疑応答の時間を設けて、これからの課題や大学での学びについてより有意義に取り組めるよう企画しました。

まず最初に学生たちの現在製作している作品のコンセプト発表を聞いていただいた王さんから以下の感想をいただきました。
「オンラインで発表というのは私の学生時代はなかったので皆さん大変だと思いますが、アイデアもしっかりしていて素晴らしいなと思いました。みなさんがデザイナーを目指していくなかで、アイデアも大事なんですが作品の「意味」も大事です。プレゼンの中でふれている生徒もいましたが、私たちも商品開発する中で5W1Hをしっかり考える。もうひとつアドバイスとしては、みなさんのアイデアが本当に量産化できるか、あるいは量産化はできなくても、お客さんにとって必要なものになるのかっていうことも、こういう課題の時に少し考えてもいいかなと思います。みなさんのアイデアはすばらしいので、完成作品を僕もぜひ見せていただきたいです」

そして、講義がスタート。王さんが会社を設立した経緯から話が始まりました。
「中国の上海から2009年にやってきて、11年目です。大学はプロダクト専攻。竹末先生の研究室です。当時は女性の生徒はひとりもいなかったのでみなさんがうらやましいですね(笑)。大学3年生の後半に会社を設立して、いまは3つ経営しています。メインはデザイン・販売です。まったく業種は違いますがエステサロンも経営させてもらっています。私の場合は、まず大学で竹末先生に出会い、そして(株)LDFに出会って、レーザー加工機に出会ったのが大きかったです。コンビニでバイトしていたときに情報誌などの雑誌を自由に読めたのですが、そこでiPhone4が発表されたニュースを知り、これは来るなと思って、ヤフオクでスマホケースを販売しはじめました。3か月くらいで月収100万円くらいになったんですが、競争が激しくなってきました。そこでレーザー加工機によるカスタマイズサービスをやろうかなということで、大学内にあるので時間があったらLDFに行って学生特権でレーザー機をタダで使わせてもらっていました(笑)。しばらくしてレーザーは購入したんですが。そのビジネスに可能性を感じてビジネスビザに変更して法人化したんです。今現在は、レーザー加工機は6台くらい持っています。もしみなさん使いたいという方は、特に土日は稼働していないので、ハイメ先生の生徒であれば連絡もらえれば使っていただいて構いませんのでご活用ください。
会社概要ですが、いま八王子の本町で本社を構えていて、工場もあります。従業員は21名です。アウトソーシングなどを入れると40人くらいになります。会社の売上も年々伸びてきて、2020年には、年商10億くらいになる予定です。
主に扱っているのは、スマホ・タブレットの周辺アクセサリーですが、開発、設計・製造・輸入・販売を全部うちでやっています。うちくらいの規模の会社は普通、製造までやらないんですよね。ユーザーのクレームやアフターサービスまでしなきゃいけないので。うちは全部のサイクルをやってるので大変ではありますが、お客さんのニーズも取り込んでいきやすくなる。もちろん材料のことをよく知らなくて失敗したこともたくさんあります。頭の中でいいアイデアでも売り出したら全然売れなかったりとか。そういう経験は山ほどあります。軽い気持ちで開発しても失敗ばかりです。それでも、電車に乗ったときに目の前の人が自分がデザインしたケースをもっているときは、言葉にできないくらいうれしくて幸せな気持ちになりますね。

みなさんが今やってる課題の時計は、ムーブメントは支給されていますよね。仮にムーブメントを作りなさいって言われたら非常に大変な仕事なんですけど、ムーブメントはできててあとはデザインしなさいっていうのであれば楽ですよね。そういうものづくりがこれから世の中には流行っていくんじゃないかなと個人的には思っています。なぜなら、日本はモノがあふれていて、モノに困っている人ってあまりいないんですよね。でもモノは必要ですよね。PCは必要、時計は必要…それであれば、需要にどういうニーズがあるのかってことなんですが、うちがいままさに作っているスマホケースも困っている商品ではない。どこにでも売ってる。では私たちの商品を買ってもらうためにどうしなきゃいけないのかっていうと…たとえば、日本人の10人に1人は左利きなんですけど、左利きのケースはなかった。こういう人たちのために作りましょうというのは、大手企業ではやらないことですよね。うちで扱ってるスマホケースは全部左利き対応できるようになっています。それから、レーザー加工機の最大の特徴でもありますが、カスタマイズしたり名入れしたりというサービスをしています。スマホの機種に合わないカバーは、レーザー加工機で加工して使えるようにして、日本で発売している95%くらいはカバーできるようにしています。これだけの機種をカバーしていて、それでいてカスタマイズできるところは当社しかないと思います。
こういうことができるのが、レーザー加工機の魅力であると思います。

取引先についてですが、うちみたいに小さい会社でも、ネットを通じて大手ともつながっていけるということを伝えたいのですが、楽天のネットショップが約5万店舗あるなかで、約50店舗がアドバイザーに選ばれるのですが、僕も選ばれて講師として300店舗くらいにアドバイスをしています。ちなみに20代は僕ひとりで、唯一の外国人講師でもあります。Yahoo!やシャープ、楽天といった大手企業や、また公的な仕事も請け負うようにもなりました。

それから、OBの就活のためのアドバイスとしてお伝えしたいんですが、コミュニケーション力は大事です。プレゼンもそうですが、言葉、言語をしっかり使えるようにしてほしい。ハイメ先生の今日の授業のプレゼンもコミュニケーション力を高めてもらうってことがあると思います。あと大事なのはスキルです。これはみなさんもってないことが多くて、いまの大学生は弱いと感じています。パソコンスキルはもちろん、一般常識も必要です。ニュースを見ていないのはダメです。レーザー加工機を動かすためにイラレのスキルは必要ですし、デザインの仕事をしたいという人がイラレやフォトショが使えませんということでは、採用できないんですよね。ここの土台をしっかり在学中に作ってほしい。皆さん頭の中に入れておいてください。

次は「起業」についてですが、皆さん起業しなさいっていっても成功する保証はないのでなかなかできないと思います。しかしコロナでみなさん就職も大変だと思うんですよ。なので、起業もひとつの選択肢だよっていうのは僕のメッセージです。
日本は起業家天国なんですよ。2020年、日本は世界最高の国ランキング第3位です。起業家精神についての評価は2位です。僕も最初の立ち上げは行政書士にお願いしたんですが、2社目、3社目は全部自分でやったんですよ。定款作って謄本とか全部自分でやりました。日本はすごい丁寧に教えてくれるんですよ。日本という国は、若い会社をつぶしたくないので税務も含めて守ってくれる姿勢があるんですよ。もし就職が厳しいのであれば、日本はトップクラスの起業環境があるのでこれを活用しないともったいないです。

僕がいちばん詳しいECの状況も変わっています。ECというのは、簡単にいうとネットで売買されることをいいます。2020年のECについていうと、コロナの影響で、約5人に1人は使ったそうです。日本は中国やアメリカに比べると遅れているんです。Pay Payとかインスタとかメルカリとかクラウドファンディングとか…ECというのはどんどん状況が変わっていっています。アマゾンや楽天で買うのがいままでは一般的でした。これも変わって、直接つながってきています。メルカリがなんではやったのかというとそういうところですね。わざわざ会社を作ってネットビジネスする必要もありません。自分がたとえば面白いと思った商品を10個つくって自分で売るっていうこともできるようになると思っています。それからキャッシュレスも、もっと普及すると思いますね。。この写真みたいに、おばちゃんがQRコード使って野菜売るのがあたりまえの時代がくると。

中国では、SNSで発信力がある人が経済を回しています。でも日本では少し違うんです。発信力があるだけじゃなくて、T字型(ジェネラリストとスペシャリストのメリットを兼ね備えた人材タイプのこと)の人間になってほしいんですよ。日本ではちゃんとした人、実力のある人を評価したいという世の中なので。
ただし技術も変わってくると思います。世の中で何が起きているかを常に見てほしいです。

まとめですが、起業はひとつの選択肢なので、何かをやるための手段です。わざわざ会社を作る必要はない。なぜなら個人でやって大きくなったら会社にしようというあくまでも手段として考えてほしい。
最後に一番重要なメッセージです。環境の変化に気づいてください。SNSやインスタばかりではなくニュースにも関心をもって、世の中の動きの中からチャンスを見つけてほしいです」

王さんの講義終了後、以下のような質疑応答が生徒と行われました。

生徒「時代のニーズをつかむための情報を取り入れるツールはインターネット以外では何かありますか」
王さん「ネットの情報だけではなく、実際に見に行きます。僕の場合は、見て、さわって感じるということが大事なので。ネットで面白い情報があまり得られないときは、1回家を出ましょう。いろんなところに行ってみましょう」

生徒「起業したときに手続きが大変だなとかありますか」
王さん「これは話すと今日1日終わりますね(笑)。僕は結構そういうタイプなんですが、やればなんとかなるでしょ、と。スタートきるのがいちばん大変だけど。もし君が会社を起こすのであれば、先輩の僕のところに聞きにきてくれればなんでも教えてあげますよ。僕は当時そういう人が周りにいなかったので大変でした。でも、後々になると全然大変じゃなかったという風になります。なので1回やってみたらいいと思います」

生徒「卒業研究ではどういうことをやっていましたか」
王さん「当時、スマホカバーを差別化するために取り組んでいた課題をテーマにしました。当時の研究のパネルが大学にまだ残ってると思いますので、今度見てください。大学というのはビジネスのための準備期間として考えていてもいいんじゃないかと思います。自分が面白いなと思うことを自分でやってみてください」

生徒「就活のためには、新聞やニュースを見るのがいいとよく聞きますが、やはり大事ですか」
王さん「自分の中でルールを決めるといいです。朝のこの時間帯はニュースを見るとか。楽天の社長は、朝1時間は英語の勉強をする、とかルールを決めれば続くとおっしゃっています。僕も毎朝、必ず20分くらいニュースを目に通しています。就職するためだけに見るのは意味がないので、常に情報を得る習慣をつけることで興味がもて、自然に知識が増えると思います」

生徒「スマホとタブレットアクセサリー以外もデザインしてますか」
王さん「文房具や眼鏡ケース、名刺ケースとか身の回り品が色々あります。ぜひうちの楽天のサイトとかを見てくれれば詳しくのっています」

生徒「スマホのiPhone4に衝撃を受けたということですが、スマホケースは、作ってる会社が山ほどあると思うんですが、その競争でトップに上り詰める会社とお客さんをつかまない会社の違いってなんですか」
王さん「いい質問ですね。これは皆さん考え続けなきゃいけないことではあるんですが、レッドオーシャンとブルーオーシャンという言葉があって、スマホケース自体はレッドオーシャンという競争がはげしいところです。ブルーオーシャンというのはまだこれから競争がはじまるところです。レッドオーシャンで勝っていくのは財力のある大企業が正面からぶつかりあう戦い方。私たちのような小さい会社はレッドオーシャンでは勝てないのがほとんどです。レッドオーシャンの中にブルーオーシャンを探しに行かないといけないんです。わかりやすくいうとショッピングモールの入り口に大きな店があるんですが、小さい自分の店はそこの横に構えて、細い道からお客さんをとるというやり方なんです。さっき僕の話の中に左利きのスマホケースの話をしましたが、右利きの9人をとるか左利きの1人をとるか。9人をとる人がほとんどなんですよね。1人をとった方が実は競争が起きないんです。そういう考え方でブルーオーシャンを探しつつ、自分のシェアを拡大していくことが戦い方です。情報を収集して、世の中どういう風に変わっていくのか、ユーザーはどういう風に変わるのか、変化を発見しないといけない。うちは20種類以上スマホケースがありますが、ひとつひとつコンセプトをもっています。コンセプトにあったユーザーに買っていただいているんです。それをつねに考えていく。仮に今後スマホケースがなくなって別のものになっていったとしても、そういう戦い方であればユーザーの心をつかめると思っています。まとめると、レッドオーシャンの中からブルーオーシャンを探す。ニーズを探していくということです。売れてるから乗っかろうとするとだいたい失敗するんです。先を見据えてのブルーオーシャンです」

王さんの話を聴いたことで、8人の生徒たちは、新しいインスピレーションとなり、今後の課題や大学での学びの取り組み方への参考になったようです。

午後からはまたハイメ准教授とFDA/LDFプロデューサーのU-sukeによる個別相談・指導を行い、各自加工データー制作の時間となりました。
来週は、いよいよ最後の工場実習になります。

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